住まいに必要な人間の能力って何でしょうか?ここで問いたいのは、能力を発揮させる事ではなく、能力を活かし、健全に暮らせるために、負担のない暮らし方を見直そうと≪健康≫を意識した生活空間のお話を一級建築士の黒田さんにお聞きしたいと思います。
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黒田さんは鳴門のうず潮で知られる鳴門海峡を本州から渡り、
程なくしたところにお住まいです。
子どもの頃には鳴門市にお住まいで、
学校から帰ると、海に潜り、サザエをたくさん獲ったそうです。
その頃は、≪うに≫が食べるものとは知らなかったらしく、
潜るときには足の踏み場もないくらいあり、
邪魔だな〜と思っていたそうです。
サザエこそが高級品だと思っていたのに、
その≪うに≫がそれを上回ると知ったときには、
当時、目もくれなかったことが残念でならなかったそうです。
今では、懐かしい思い出となってしまったようですが・・・。
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■■ 人の能力と住まい ■■
■一級建築士の資格をお持ちですが、 どういったお仕事を得意とされているのですか?
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建築といっても、医者が内科、外科・・・。弁護士が刑事、民事・・・という得意分野があるように、 建築でも意匠(デザイン)、構造、設備、施工等色々な分野に分かれています。
その中でも、お金に絡んだ仕事・・・ 積算、コスト管理が得意で、
プロデュースとかマネジメントが好きな仕事です。
■建築とひと言で言っても、色々な仕事があるんですね?
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家を建てたいと考えたときにも、一般の人は工務店や建築会社だけを思い浮かべる人が多いと思いますが、何千万円もする住宅を現金で買う人は滅多にいないと思います。借り入れ(ローンを組む)をして資金を準備しますね。なので、銀行や融資先の選別など、登記には専門の人を立てたり・・・
家を建てるには、設計から始まり、施工会社にバトンタッチして、工事の着手になりますが、それも内と外では扱う専門業者も異なります。厳密に言うと、基礎の段階でも、色々な専門の業者が細かに分類をされて、携わっています。先にお話した資金の準備でも金融機関や公共の機関にまず相談して、資金が調達できるのか、もし、手持ち資金で支払うとしても、税務対策、登記等に配慮することが必要になります。思ったより、様々な知識が家を建てる場合に必要とされるんですよ。
■福祉住環境にも意識されているとお聞きしていましたが・・・。
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仕事柄、新築を扱うよりも、リフォームや改修のお話を頂くことが多いですね。ここ最近はかつての水周りだけをリフォームと言うよりも、高齢化に対しての備えを意識される人が増えてきましたね。
単純なバリアフリーに切り替えるだけでは、安全には住めないということが往々にしてあります。段差を解消しても、車椅子が通れる幅がなければ、フラットにしても意味はありません。当たり前のことですが、同業者として頭を抱えてしまうほど、安易な設計プランを提案している建築会社は多いんですよ。
■では、具体的に住環境としてご提案はありますか?
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乱暴な提案かも知れませんが、自分が設計するものには廊下が無いんです。廊下は極力、省きます。部屋の中に通路はいらないと思っています。仕切りの多い家は、家族の関わりも断ってしまっているように思えるんですよ。個室はもちろんあってもいいですが、みんなが集まる居間はなるべく開放的な方がいいですよ。
それに、福祉的観点からもオープンな作りは非常に理にかなっているんですよ。今、介護で困っていることってどういう点かご存知ですか?介護される人と介護する人がコミュニケーションを図るには密接した関わりが必要と言うことです。簡単に言えば、介助ですね。
介助するには、何をするにも二人分のスペースを必要とすると言うことです。トイレもそう・・・お風呂もそう・・・。扉を開けることの手間と一人で通るときには気にならないドアノブの存在が介助しながらそこを通過しなくてはならないとき、そのドアノブの存在が恨めしいんですよ。
■実際にリフォームや改修をされて、印象深い事柄はありますか?
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改修工事をされる方の多くが、老朽化を除くと、家族が独立をして家を出て、夫婦二人になったからと、使い勝手を年齢に合わせた設計を望まれることが増えてきましたね。
歳を重ねると、あまり動きたくなくなりますね。すると足腰が弱くなる。だからと言って、1つの行動を起こすのに、何分も掛かるなんて嫌ですよね。たとえば、居間から台所まで廊下を介して距離があるとします。この距離って面倒で、無駄ですよね。いちいちくつろぎを中断され、動かなくちゃならない。奥さんも不機嫌になりますよ。(笑)
であれば、台所、食堂、居間をオープンにひとつにすれば、「おとうさん。そこのそれ 取ってちょうだい。 」って、頼むことだって簡単になる。ストレスが無くなれば、心は健全になり、夫婦でじゃ〜散歩にでも行きましょうか?と運動は、楽しみながらする方がいいですよね。
以前に似たような事例で、キッチンとダイニングをオープンにして、奥さんが旦那に頼みやすくなって、奥さんからは感謝されましたが、旦那さんからはちょっと渋い顔をされましたが、結構、二人で出掛けているのをよく見かけると、夫婦の危機を救ったと自分ではいいことしたと思ってますよ。
■家族が少なくなると使わない部屋が増えますが、その利用法はありますか?
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使わない部屋の問題より、間取りの考え方の転換ですね。日当たりのいい2階を主とした生活スペースとして使う。階下は書庫などに適していますよ。お風呂もオープンに2階。それもバルコニー側。露天風呂までは行かなくても開放感を持たせると、結構、贅沢な気分を味わえますよ。
それから、階段は非常用だけ。エレベーターですね。車椅子になっても、対応できます。階段での事故はご想像通り、多いですよ。住宅用エレベーターは大きなスペースを必要としませんし、工事費の方も思ったより安く出来ますよ。ただ、役所にエレベーター設置の確認申請書が必要になります。
■階段も使わない、歩く距離もなくしてしまって、機能は衰えませんか?
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怪我をしないように用心しながら、緊張しながら上り下りをすることって、ストレスになりませんか?老人性のうつ病って、よく聞きますね。それは不安が重なって、神経質になることから始まるように思いますよ。安心で安全な間取りであれば、機能は他に使おうと思える気力が生まれます。そのことの方が大切だと思いますよ。
■改修の魅力は分かりましたが、工事中の仮住まいなどの問題もありますよね?
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そうなんですよ。建築の仕事をしていますが、資金の相談、仮住まい先や、引越しの斡旋・・・・色々なことを相談され、その都度、勉強しました。なので、ある程度のことなら、相談に乗れますよ。一体何が本職なのか、わからないときありますよ。
■肩書きにプロジェクト・マネージャーとありますが、なんですか?
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まぁ、今話したような、色々なことをまとめて、トータルに考えながら、業者に施主の意向を伝えたり、逆に施主の意向をどこまで反映できるかを折り合いをつける役割ですね。意向を伝え、それを希望に近いところまで、設計者や施工業者に指示して、監理する仕事です。調停役みたいな感じですかね?建築の翻訳家。なんて・・・自分では言ってますがね。
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家を建てるのが、こんな夢の広がることとは、思いませんでした。秘密基地みたいなのを頼んだら、本気で作ってもらえそうな黒田さんでした。
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(2005.7.15掲載)
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